#02

アルギン酸、
医療業界への挑戦CHALLENGING

MEMBER

  • 大村 剛久TAKEHISA OOMURA

    入社:2002年
    技術開発部

    前職を退職後、WEBサイトからKIMICAへ応募。
    就職氷河期だった当時に入社してから間も無く、アルギン酸の医療業界挑戦にビーカー1つから挑戦を始める。

  • 茂木 菜月NATSUKI MOKI

    入社:2006年
    技術開発部

    生まれも育ちも南米。インターネット検索からKIMICAに直接応募し内定。
    理学博士の称号をもつ彼女は母として、博士として当プロジェクトを支えている。

  • 並木 友亮YUSUKE NAMIKI

    入社:2014年
    技術開発部→品質保証部

    大学で「藻」を研究していた知識・経験を活かしたいと思いKIMICAへ入社。
    現在は京都の大学との共同研究に出向しアルギン酸のさらなる可能性を研究している。

  • 田口 晃彦AKIHIKO TAGUCHI

    入社:2008年
    技術開発部

    同じ大学の先輩が務めている事からKIMICAを知る。
    メンバーの中堅として製造から夜勤対応などプロジェクトの様々な局面で力を発揮している。

  • 王 聡SOU OU

    入社:2018年
    技術開発部

    研究室の先生の推薦でKIMICAに入社。
    大学の頃から応用海藻を学び今もKIMICAとアルギン酸に青春を捧げている。

  • 竹原 生真IKUMA TAKEHARA

    入社:2018年
    技術開発部

    大学の頃から化学を専攻しており化学メーカーを探す中で、KIMICAと出会う。
    大学で得た、知識経験を活かしアルギン酸の研究に貢献している。

  • 鈴木 翔馬SYOUMA SUZUKI

    入社:2018年
    製造部

    大学生の頃は実験、研究等で、目的に向かって試行錯誤することが何より好きだった事から転職を決断。
    専攻分野は電気電子だったが、好きなことをしたいという熱意でKIMICAへ入社する。

PROJECT OUTLINE

体内に直接導入できるアルギン酸を開発するため、アルギン酸中のエンドトキシン除去に取り組んだ。海藻を徹底的に洗って抽出するなど、色々な方法で試行錯誤したが研究は難航。
その後、ある条件で加工する時にエンドトキシンレベルが大幅に低くなることを見出し、その加工を徹底的に行うことで、エンドトキシンを極限まで除去したアルギン酸の製法を確立。
その製法をスケールアップして、治験用のアルギン酸まで作れるように研究を重ね、実際に医療機器が上市され、世界発のアルギン酸医療業界の進出を成し遂げた。

ビーカー1つ、ラボの片隅から
医療業界への挑戦が始まった。

プロジェクト開始当初の心境

大村 剛久
プロジェクトの立ち上げ当初は、ラボの片隅でビーカーを用いて製造していました。
アルギン酸のサンプルを準備して、ユーザーに発送するだけだと思っていたので、こんな大変なプロジェクトが始まっているなんて、その時は思ってもいませんでした。
当時は提供してほしいと依頼があった素材を苦労して製造して、提供している中でクレームになってしまったり、安定して供給できるようになってからは製造する量が急激に増えたりして、頑張って対応したことも沢山ありました。
茂木 菜月
大村さんなしでは、このプロジェクトは成り立ってないかもしれませんね。
私はプロジェクトに関わりだした当初は未知の分野への挑戦だったので、不安は沢山ありましたが、もともと実験が大好きだったので、毎日が楽しかったです!
竹原 生真
私も入社して間も無く、このプロジェクトに参加させてもらうことになりました。
食品等の分野でアルギン酸が用いられていることは知っていましたが、医療方面の用途に関しては全く知らなかったので、新しい用途への開発ということがわかり、とてもワクワクしました。
また医療方面でアルギンが採用されることになれば会社としても大きくなることが出来て、非常に期待が高まるプロジェクトだと感じました。
田口 晃彦
プロジェクトに参加する前から、今後のキミカの柱になる分野だと思っていたので、そのような仕事に関わることができて、非常に有り難いと感じたことをすごく覚えていますね。
現在も改善出来る点はありますが、当時は今以上に沢山改善する点があったので、やりがいのある仕事だと心して挑んでいました。

医療の分野の必須条件
「アルギン酸の精度」
度重なる難題を超えて
苦しむ人々の元へ

並木 友亮
最初は苦難の連続でした...
製薬会社から先方での試験製造用にテストサンプルが欲しいという話が舞い込んできたことがあります。当時はテスト段階で1回あたりの製造量が少なく、先方の希望する量と納期を製造するためには製造回数をこなして量を稼ぐしかありませんでした。朝起きてから出社中はもちろん、退社してご飯を食べている時も、寝ている時もとにかく四六時中アルギン酸で頭がいっぱいでした。
また、これがきっかけで1製造あたりの生産量向上のための検討も行われ、実際に現在では当時に比べると生産量は向上しています。
茂木 菜月
プロジェクトに関わりだした当初、まだまだ現在のレベルからは程遠い状態でした。どの様なデータを残すべきか、どの様な確認をしておく必要があるのか、どれだけの精度が求められるのか、何もわからない状態からのスタートでしたので、少しでも求められているレベルに近づけるように必死に勉強したのを思い出します。
鈴木 翔馬
私は去年からプロジェクトに参加させてもらったばかりで製造の部門で参加していますが、努力したことはやはり日々の製造で、決められた工程を確実にこなすことで、必ずエンドトキシンの規格内に収まる原薬を製造してきました。先輩達が作り上げてきた成果を製造するわけですから、その製造段階で失敗するわけにはいきません(笑)
王 聡
私も同じく製造の担当だったので、一番努力したことと言えば、原薬としての低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムの製造です。最も忙しい時期は月に10ロットの低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムを製造しました。医療用に使われる材料ですから失敗やミスは許されない環境で、集中力を持って仕事に日々取り組んでいます。

世界初の医療業界進出
アルギン酸は人類の生活を
もっと豊かにする

竹原 生真
自分たちが苦労して製造したアルギンが市場に出たときは、喜びもひとしおでした。
現在用いられている用途だけでなく、他に様々な用途での開発が進んでいくなかでも医療方面への展開は目覚ましいものがあるので、その成長を支えていけたらと思います。
並木 友亮
このプロジェクトは「アルギン酸を医療分野で活用する」という当社の大きな目標を達成するために十数年前から行われているものです。今回やっとスタートラインに立つことができたと考えています。
現在はアルギン酸の新たな機能性を探ること、そしていかにその機能を使いこなすかという点を研究するために京都大学ウイルス・再生医科学研究所に出向しています。会社の中で多くの人が携わってきたプロジェクトにより当社にしか作れない高精製度なアルギン酸が誕生しました。
私は次のステップとなる「使い道」を開拓し、当社が一途に取り組んできた「アルギン酸」という素材の機能を人や社会の役に立てていきたいと考えています。
田口 晃彦
物を製造して出荷している時は、製造する事に精一杯で大変だと思っておりましたが、いざ実際に医療機器として業界進出すると、今まで行ってきた事が報われ、嬉しく思いました。今回の研究成果に続くものが沢山出てきて欲しいと思っています。現在、原薬関係は様々な案件がありますので、今後の柱にしていくためにも、お客様の期待に応えられる様に率先して研究に取り組んでいきたいと思っています。
大村 剛久
医療業界への挑戦は、長くてとても大変な仕事でしたが、医療機器という形になって病に苦しむ患者の助けに繋がって本当にうれしいです。
世界で初の挑戦だった分、達成したときの喜びはとても大きいですね。今後も達成するまで、大変なプロジェクトは数多くあると思いますが、今後もアルギン酸のプロとして、世界と闘うKIMICAの一員として積極的に挑戦していきたいです。