超高純度 医療用アルギン
(低エンドトキシン/注射剤用)
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世界初の技術
世界で初めて注射剤用原薬アルギン酸工場を設立し、
「超高純度 医療用アルギン(低エンドトキシン/注射剤用)」の実用化に成功しました。
本品は、注射などで直接体内に投与できるまでエンドトキシン(発熱性物質)を十分に低減したアルギン酸です。本品の実用化によってアルギン酸の医療分野への応用が一気に拡大しました。
既に医療機器の原料として利用されており、再生医療分野の治験も盛んに行われています。再生医療や組織工学等の最先端医療の研究分野で注目される素材であり、人の命を救い、健康を守り、痛みを和らげるバイオマテリアルとして世界中で活躍しています。
さらに本品はGMP(Good Manufacturing Practice)に準拠して製造しているため、研究開発はもちろんのこと、製品製造に至るまでのいずれの段階でも利用可能です。コンセプト検証などの研究段階から実生産の全ての段階で本品を一貫して利用することで、結果や効果について高い再現性を得ることができます。
特徴
GMP対応
キミカはアルギン酸製品を医薬品の原薬として供給するため、千葉プラントで医薬品製造業許可を取得しております。
千葉プラントでは、原薬GMPに適合した生産体制で、高品質のアルギン酸製品を原薬、医療原料として供給することができます。
低エンドトキシン
アルギン酸のパイオニアとして長い歴史を持つ当社が長年の研究を経て、エンドトキシンを除去する技術を確立させました。それにより、注射などで直接体内に投与できるよう、エンドトキシンを十分に低減したアルギン酸製品をご用意しております。
超高精製度
アルギン酸に含まれる不純物を徹底的に取り除いた、精製度の高いアルギン酸製品を供給いたします。あらかじめ0.2μmフィルターによるろ過を施すことも可能です。

専用設備
超高純度グレードのアルギン酸ナトリウムの製造は当社千葉プラント内にある専用設備にて商用生産を行っています。

低エンドトキシン
従来利用されてきた医療用途のアルギン酸は、経口投与するものか、体の表面に使うものでした。将来アルギン酸をより高度な医療目的に利用していただく際、注射などでアルギン酸を直接体内へ投与する場面も考えられますが、その場合は発熱物質などの夾雑物を除いておくことが必要になります。
キミカでは、直接体内に投与しても問題ないよう、アルギン酸中の発熱物質(エンドトキシン)を十分に低減した「低エンドトキシン」アルギン酸製品をご用意しております。
- エンドトキシンとは
- エンドトキシン(内毒素、Endotoxin)は微生物(グラム陰性桿菌)の細胞壁に存在するリポ多糖で、その微生物が死んで菌体が壊れたとき、その残骸から生じます。
エンドトキシンが血液を通じて体内に侵入すると、たとえごく少量であっても発熱や敗血症性ショックなどを引き起こし、命に関わることもあります。
医薬品や医療機器、特に生体内へ直接導入される注射剤についてはエンドトキシンフリーである事が求められます。
- アルギン酸に含まれるエンドトキシン
- 天然の海藻から抽出されるアルギン酸には、1グラムあたり数万~数十万EU(Endotoxin Unit)のエンドトキシンが含まれているのが一般的です。口から摂取する食品や経口剤では全く問題にならないものですが、注射剤に用いるアルギン酸からは可能な限りエンドトキシンを除かなければなりません。
利用例
内視鏡用粘膜下注入材
内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection : EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection : ESD)の際に病変部を持ち上げるために使用する内視鏡用粘膜下注入材の原料として使用されています。
これまでは生理食塩水等を利用した隆起方法が一般的でしたが、アルギン酸Naを使用することにより隆起高が高くなり、隆起した形状が長時間維持されることが期待されています。
【参考文献】Kusano T, Etoh T, Akagi T, Ueda Y, Shiroshita H, Yasuda K, Satoh M, Inomata M, Shiraishi N, Kitano S. Evaluation of 0.6% sodium alginate as a submucosal injection material in endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer. Dig Endosc. 2014 Sep;26(5):638-45. doi: 10.1111/den.12268. Epub 2014 Mar 24. PMID: 24655031.

軟骨修復・再生
膝や肘の関節軟骨が損傷した場合の修復材(医療機器)として利用が期待されています。移植したアルギン酸ハイドロゲルが足場となり軟骨組織の修復・再生が進むと考えられます。
【参考文献】Onodera, T., Momma, D., Matsuoka, M., Kondo, E., Suzuki, K., Inoue, M., Higano, M., & Iwasaki, N. (2023). Single-step ultra-purified alginate gel implantation in patients with knee chondral defects. The Bone & Joint Journal, 105-B (8), 880-887. doi: 10.1302/0301-620X.105B8.BJJ-2022-1071.R2
椎間板の組織修復・再生
椎間板ヘルニアの治療にアルギン酸Naを利用する研究が進められています。椎間板ヘルニアの⼿術において、ヘルニア組織を取り除いた後にできる椎間板内部の空洞は組織修復・再生の障害となることがあります。⼿術後も痛みが残る場合や、椎間板内部の組織変性が進んでヘルニアが再発したり、脊柱管狭窄症や変性すべり症などが進⾏して再⼿術になるリスクが指摘されており、新しい治療法の確⽴が望まれています。
その一つにアルギン酸Naの利用が検討されています。椎間板に生じた空洞をアルギン酸Naで満たし、漏出しないように注入口をゲル化します。この処置を施した椎間板内においてアルギン酸Naが組織修復・再生の足場材料になるという研究が行われています。
【参考文献】Katsuhisa Yamada, Takahiko Hyakumachi, Terufumi Kokabu, Kenichiro Maeda, Toshiyuki Isoe, Khin Khin Tha, Yoichi M. Ito, Takashi Ohnishi, Tsutomu Endo, Daisuke Ukeba, Hiroyuki Tachi, Yuichiro Abe, Yoko Ishikawa, Nozomi Yokota, Takashi Miyakoshi, Osamu Sugita, Norihiro Sato, Norimasa Iwasaki & Hideki Sudo, Acellular, bioresorbable, ultra-purified alginate gel implantation for intervertebral disc herniation: Phase 1/2, open-label, non-randomized clinical trials. Nat Commun 16, 4285 (2025). doi: 10.1038/s41467-025-59715-0

その他 アルギン酸のバイオテクノロジー・
医療分野における応用
シート培養・3D培養、細胞・組織の保存、生体組織の再生足場、分泌細胞の封入、薬剤の徐放等に使われています。
商品一覧
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウム
| Type | Grade | 粘度 (1.0%水溶液, 20℃)* |
概算分子量 (重量平均分子量) |
M/G比 | エンドトキシン EU/g |
生菌数 cfu/g |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Standard | AL500 | 450~600 mPa・s | 215万~245万 | 0.8~1.6 | ≦50 | ≦100 |
| AL100 | 50~200 mPa・s | 80万~150万 | 0.8~1.6 | ≦50 | ≦100 | |
| AL20 | 20~50 mPa・s | 55万~80万 | 0.8~1.6 | ≦50 | ≦100 | |
| AL10 | 5~20 mPa・s | 30万~55万 | 0.8~1.6 | ≦50 | ≦100 | |
| High-G | ALG300 | 250~400 mPa・s | 165万~205万 | <0.8 | ≦50 | ≦100 |
| ALG100 | 50~200 mPa・s | 80万~150万 | <0.8 | ≦50 | ≦100 | |
| ALG20 | 20~50 mPa・s | 55万~80万 | <0.8 | ≦50 | ≦100 | |
| ALG10 | 5~20 mPa・s | 30万~55万 | <0.8 | ≦50 | ≦100 | |
| High- M | ALM100 | 50~200 mPa・s | 80万~150万 | >1.6 | ≦50 | ≦100 |
| ALM20 | 20~50 mPa・s | 55万~80万 | >1.6 | ≦50 | ≦100 |
粘度参考
・オレンジジュースの粘度5~15 mPa・s
・オリーブ油の粘度~90 mPa・s
・練乳の粘度~200 mPa・s
・卵黄の粘度~800 mPa・s
・グリセリンの粘度~1,100 mPa・s
*回転式粘度計, 20℃, 30 rpm(ローター適宜)で測定
1 mPa・s = 1 cP
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