パン製造技能士を目指す
アプリケーション開発技術者
研究開発
# 20代
# 新卒入社2年目
# 食品ラボ
若手技術者として、日々アルギン酸の食品へのアプリケーション(活用・応用法)の検討・開発に励んでいる。
「主な担当はパンですが、その他にもさまざまな食品へのアルギン酸の応用方法を検討しています。自分からテーマを提案することもあれば、市場のトレンドを把握している営業部門からのオーダーもあります。お取引先からの、『こういった使い方はできないか?』というご要望に対して、いろいろな角度から試験を行うことも多いですね」
食品そのものや、食品が体内にもたらす機能に関心があり、大学は食品科学や栄養学を学べる学部に進学した。就活では、食品のおいしさを消費者に届ける仕事、もしくは多くの人びとの健康を支えることのできる仕事に携わりたいと考えていた。
「食品の品質改良効果だけでなく、生理活性効果を持っているアルギン酸の魅力を知り、KIMICAなら、自分の目標を同時に叶えられるかもしれないと感じて、応募しました」
日々の業務に加えて、国家資格である「パン製造技能士資格」取得を目指して勉強中だ。受験には、2年以上のパン製造の実務経験が必須であり、学科試験・実技試験が課せられる。
「来年には受験資格が得られるので、試験に向けて準備を進めています。合格できたら、パンの新たなアプリケーション開発に挑みたいですね」
ミュージカルに夢中になっています。イギリスのミュージカル・ファンである友人に誘われ、来日公演を観てからズルズルと……。映画やテレビにはない感動があるんです。気に入った作品は何度も観ます。東京はもちろん、地方公演も追っかけたりしています。お安くはない趣味なので、クレジットカードの明細と睨めっこで(笑)、節約しながら楽しんでいます。
子どもの頃はダンスをやっていました。中学生のときに辞めていたのですが、最近またムクムクと気持ちが高まってきて、ディズニーランドとかのテーマパークで観客を楽しませているジャンルのダンスに挑戦しています。レッスンがある週末が待ち遠しいです。
ドライブも大好きです。実は運転が苦手なので、ドライブ好きの先輩・後輩に頼りっきり。ひたすら車窓の景色を楽しむスタイルです……(笑)。千葉県内や近県によく出かけます。香取の「サツマイモ・パフェ」は、本当に美味しかった!
試験・開発業務を行う「食品アプリケーションラボ」は、業務用のオーブンや製麺機をはじめとした、プロ仕様の調理設備を備える。全面ガラス張りの明るい室内は、取引先関係者を交えて、アルギン酸の応用効果について検証することも多いという。
「食品メーカーの実際の生産ラインで使われるものと同等の設備を用意していただいて、そこで仕事できることが楽しいです。アルギン酸は不思議な素材で、毎回焼くパンも、少しずつ条件を変えることで、焼き上がりに歴然とした違いが現れます。たとえば、パンにアルギン酸を加えると、ボリュームアップして、潰したときの戻り具合も全然違います。ドレッシングやパスタソースでも、アルギン酸の乳化安定効果によって、成分が分離しない状態を長く維持できます」
アルギン酸の可能性を広げるために、蓄積されたノウハウを応用して試験を重ねることもあれば、一から検討する場合や、取引先からのオーダーに対しては、最適な試験方法にたどり着くまで試行錯誤を繰り返すことになる。
「対象となるお取引先は多岐にわたります。その業界で一般的とされる条件で試験をしなければ、納得していただくのが難しいこともあります。どんな方法・条件で、日常的な試験を行っているのか、営業の方々にも協力していただいて情報を収集するのですが、お取引先も、開示できる情報が限られていることが多いですから……。その場合は、自分で調べた情報も加味しながら、最適と思われる方法で試験を行います。でも、一筋縄では行かないことが多いですね。行き詰ったときには、上司や先輩方に相談します。そんなときのアドバイスや、協力を惜しまない姿勢が本当にありがたくて、諦めずに前に進むエネルギーになっています」
試験では、最終的な目的を見失わないよう心がけている。大学の研究とは異なり、可及的速やかに、取引先に提案する段階に到達することが求められるからだ。
「『さまざまな条件を試したい、もっと突き詰めたい!』という欲求が湧くことが、けっこうあります。そんなときは一度立ち止まって考えます。探究心のみに従って進めてしまうと深みにはまり、遠回りになってしまいかねない。ゴールはどこなのか、行おうとしている試験は本当に必要なのかを吟味しながら、試験を進めるよう常に意識しています」
「この食品をおいしく作るためには、これがないと絶対ダメだ」という定評を得られるような、アルギン酸の新用途、食品アプリケーションを開発するのが夢だ。
「アルギン酸の効果に加え、他の素材との相乗効果によって、いま以上に幅広い用途で使用してもらえるようになったら嬉しいです。そのためにも、アルギン酸についての勉強はもちろん、さまざまな素材の知識を蓄えているところです」
華奢に見えて、その実アグレッシブな若き技術者の、前向きな姿勢に期待が広がる。