医療応用の世界を切り拓く
若き女性管理職
医療材料製造部マネジャー
# 30代
# 女性管理職
大学卒業後、食品メーカーで研究生活を送っていた。
「前職では、市場への貢献度や影響力に限界を感じることがありました。業界内でのシェアやリーダーシップの重要性を学ぶことはできたのですが、違う環境でさらなる成長の機会を求めるようになっていました」
その頃、かつての同僚からKIMICAを紹介され、転職することを決意した。
「KIMICAは、アルギン酸メーカーとして国内オンリーワンであり、高いシェアを誇っている。市場でのリーダーシップを発揮していることも、私にとって非常に魅力的でした」
医療材料製造部の特徴は、製法開発グループと分析法開発グループが独立した組織体制をとっていること。元々は、技術開発部がいわゆる研究開発という立場から、全社的な製法・分析法を開発する体制だった。しかし、医療材料としてのアルギン酸が注目されることとなり、次代の主力製品とするべく、製法・分析法開発のスピードアップを図るために専門組織が編成されることとなった。
「分析は、まずは公定書という決められた手順に従って試験を行いますが、予測と異なる数値が示されることも多くて、その度に試行錯誤を繰り返します。『なぜ? どうして?』と、メンバーたちが出してくれるデータを元に、意見を出し合いながら考えることが面白いです。決められた納期までに結果を導き出すことは必須ですが、試験法の開発は、ある程度自らの裁量で進められるので働きやすいですね」
アルギン酸ナトリウムは、水溶液に溶かすことによって粘性を帯びる。その粘度や強度の違いによって、食品の食感改良・形成や、化粧品、農業、意外なところでは、繊維、製紙、鉄鋼などの、社会を支える幅広い分野で利用されている。そして、いま最も注目されているのが、医療材料としての可能性だ。
「アルギン酸は海藻の食物繊維です。シンプルな素材ですが、腸内環境改善やコレステロール対策に有効であるという研究結果があります。食後の血糖値上昇を抑制する効果*も知られています。まだ公にはできないこともありますが、とんでもない可能性を秘めているところが、本当に面白いんですよ」
*食後の血糖値上昇を抑制する効果:アルギン酸カルシウムが、食後血糖値の急激な上昇を抑える働きのあることが臨床試験で確かめられている。
出身が海のない群馬県なので、千葉に来て海鮮料理のあまりの美味しさに感動しました。ドライブが好きで、休日には房総グルメ巡りを楽しんでいます。夏は仕事仲間とマザー牧場でのジンギスカン、秋は館山の絶品スイーツが、恒例の楽しみになっています。美味しいものを食べると、何よりもリフレッシュできるんです!
現在は5人のメンバーを率いている。管理職としての役割を担うことは新たな挑戦でもあったが、会社の成長に貢献できることや、チーム・メンバーの成長を見守れることに喜びを感じる。最初は「どう進めていくべきか」と、プレッシャーに感じていた。しかし、「さまざまな経験・立場の人たちの意見・アイディアが混じり合うことで、予想外の成果が生まれる」ということに気づき、チームで一緒に成果を追求できることが、今では大きなモチベーションとなっている。
「若手社員が多くて、和気あいあいとした空気に包まれています。私の部署には新卒採用・中途採用の混成ですが、経験や視点の異なる意見を汲み取れるような雰囲気づくりに努めています。新卒ならではのフレッシュな思考力と、中途の経験知識に裏打ちされた落ち着きとが、良い化学反応を起こし、日々刺激をもらっています」
入社して6年経ったいま、KIMICAの魅力は「会社が現状に満足せず成長をし続けていることである」と、日々感じている。国内オンリーワンメーカーであるにも関わらず、さらなる高みを目指した医療用アルギン酸を次代の《柱》に定め、大いなる変化を続けている。
80年以上にわたり引き継がれてきた創業の精神は守りつつ、明らかに変化していることが、仕事を通して実感できるのが楽しいです」
感嘆するべきは、変化におけるダイナミズムだ。2022年に新社屋が完成し、近未来的な設備・機器の充実に目を見張ったのだが……。
上司から、今回のような職場環境の大改革は3回目だと聞きました。20年も経たない間に、時代の変化に即応して環境や組織を何度も改革できる会社は、なかなかありません。それを成し遂げてきた先輩方の努力があったからこそ、今の私たちがあるのだと思います」
想像を超えたポテンシャルを秘める医療用アルギン酸が、KIMICAの、次代の事業の《柱》であるという認識は、全社で共有されている。
「私たちは、医療用グレードのアルギン酸の可能性を、分析を通して評価する役割を担っています。アルギン酸の価値を高め、ひいてはKIMICAの価値向上にも直結していると考えると、身が引き締まりますね」
屈託のない笑顔を見せ、あくまで穏やかに語る姿が印象的だが、会社の命運がかかる、新たなフェーズに挑む覚悟は、すでに固まっているようだ。