1. ホーム>
  2. アルギンの応用
  3. 菓子・飲料

菓子・飲料

アルギンをお菓子作りに応用すると、生地のボリュームアップや弾力性向上、泡の安定などの効果を得ることができます。冷菓の安定剤として古くから定評があり、食感の改良やヒートショック耐性などの効果が認められています。飲料では、酸性乳たんぱくの沈殿を防止する安定剤として、あるいは果汁飲料に濃厚感を与える増粘剤として利用されています。

応用例・効果

※様々なタイプのアルギン酸類を「アルギン」と総称しています。応用例毎に正確な物質名を注記していますのでご参照ください。

スポンジケーキ

スポンジケーキ

口溶けの良い食感となり、スポンジ全体の容積が向上します

スポンジケーキ

別立て法で作ったスポンジケーキは生地のつながりが弱く、焼成後の内相の気泡が不均一になるため、ボソボソとした脆い食感となることがあります。アルギンを配合すると、スポンジ内相の気泡がきめ細かく均一になり、やわらかくふんわりとした口溶けの良い食感となります。また、生地のつながりが強化されることにより、スポンジ全体のボリュームが上がります。

【使用するアルギン】
アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501、昆布酸503)
昆布酸501
スポンジケーキ
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
対粉0.1~0.5%

レンジアップケーキ

レンジアップケーキ

短時間のレンジアップでしっかり膨らみ、萎みにくくなります

レンジアップケーキ

レンジアップケーキはオーブンや蒸し器で調理したケーキと比べてボリュームが十分でないうちにタンパク質が熱変性し、凝固してしまうため、固く「引き」の強い食感になってしまうことがあります。アルギンを加えることで生地のつながりが良くなり、短時間のレンジアップでしっかりと膨らませることができます。弾力性も向上するので、膨らんだケーキがしぼみにくく、良好な外観が長持ちします。

【使用するアルギン】
アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501、昆布酸503)
昆布酸501
レンジアップ
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
対粉0.1~0.5%

カステラ

カステラ

しっかり膨らみ、ふんわりと軟らかく焼き上がります

カステラ

品質の良いカステラを作るとき、一般の小麦粉ではなく、保水性の高いカステラ専用粉を使うことがあります。専用粉で作ったカステラはふんわりと軟らかく焼き上がりますが、一般の小麦粉であっても、アルギンを配合することで専用粉に負けない、ふんわりとした食感のカステラを焼くことができます。さらに専用粉に対してアルギンを加えることで、軟らかさを維持しつつ、しっかり膨らませてしぼみにくいカステラを焼くことができます。

【使用するアルギン】
アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501、昆布酸503)
昆布酸501
かすてら
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
全重量の0.1~0.5%

冷凍パイ生地

冷凍パイ生地

浮き上がりが良くなり、ふっくら膨らみサクサク感が増します

冷凍パイ生地

ラピッド法で作った速成のパイ生地は冷凍するとパイの層ができにくく、生地層が潰れて浮きが悪くなります。冷凍パイ生地にアルギンを加えると、生地層の一枚一枚がきれいに分かれて適切な空隙が入り、焼成後に浮き上がりが良いパイができます。食感のサクサク感だけでなく、生地層に適度な強度が付与されて全体に高くふっくらと膨らむため、歩留まりが改善します。生地伸びが良くなるので、捏ね伸ばしの作業効率も改善します。

【使用するアルギン】
アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501、昆布酸503)
昆布酸501
冷凍パイ生地の品質改良
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
対粉0.1~0.5%

ホイップクリーム

ホイップクリーム

気泡を安定化させて保形性を長時間維持し、離水も低減します

ホイップクリーム

ホイップクリームは温度が上がると気泡が壊れて「ダレ」を生じたり、離水して形が崩れたりして、外観が悪化してしまいます。生クリームに加えられたアルギンは、乳成分のカルシウムによって緩いゲルを形成し、ホイップクリーム中の気泡を安定させます。その結果、クリームの保形性を長時間維持できるようになります。また、ホイップクリーム中に形成したゲルが水分を抱え込むため、クリームからの離水も軽減することができます。

【使用するアルギン】
アルギン酸ナトリウム(商品名:昆布酸404)
昆布酸404
【推奨使用量】
全体に対して0.1~0.5%

メレンゲ

メレンゲ

きめ細かやかで消えにくい泡を作ることができます

メレンゲ

アルギンは卵白のたんぱく質に作用して泡の膜を強化し、きめ細かくて消えにくい泡を作ります。メレンゲが泡立つまでの撹拌時間が短くできることに加え、出来上がったメレンゲはなめらかで、きれいな角の立つ状態が維持されます。アルギンは卵白の鮮度や生卵成分のばらつきに影響されることなく安定した品質のメレンゲを作ることができ、クリーミーな外観と滑らかな食感が長持ちします。

【使用するアルギン】
アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501、昆布酸504)
昆布酸501
メレンゲの気泡安定
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
昆布酸501:全体に対して0.1~0.5%
昆布酸504:全体に対して0.1%

アイスクリーム

アイスクリーム

気泡が立ちやすくなり、口溶け良くなり歩留りも改善します

アイスクリーム

アイスクリームは、アルギンの最も古い食品アルギンの応用です。アルギンを配合したミックスは粘性が適度に上がって気泡が立ちやすくなり、アイスクリームのオーバーランを向上させます。オーバーランの高いアイスクリームは口溶けが良く、製造面では歩留まりも向上します。

また、ミックスに加えられたアルギンは乳中のカルシウムと反応して、アイスクリームの中に耐熱性のゲルネットワークを形成します。その結果、溶けにくく、身痩せしない、ヒートショック耐性に優れたアイスクリームになります。

【使用するアルギン】
アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸エステル(商品名:昆布酸702、昆布酸804、昆布酸542)
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
全重量の0.1~0.5%

果汁飲料

果汁飲料

喉ごしと濃厚感を与えて食感を改良し、固形分の沈殿も抑えます

果汁飲料

果汁飲料にアルギンを加えることで、飲料に適度な喉ごしと濃厚感を与え、食感を改良します。また原料由来の果肉成分など、飲料中に懸濁している固形分の沈殿を抑える効果も期待できます。

【使用するアルギン】
アルギン酸エステル(商品名:キミロイド)
キミロイド
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
全重量の0.5~1.0%

乳酸菌飲料

乳酸菌飲料

乳タンパクの凝集・沈殿を防ぎ、安定な分散状態を作ることができます

乳酸菌飲料

アルギンは乳酸菌飲料の安定剤としても効果を発揮します。乳酸菌飲料にアルギン溶液を加えて均質化すると、アルギンの分子が酸性乳タンパク粒子の表面にとりつき、粒子間の静電反発を補うとともに、アルギンの高分子構造が立体障害となって乳タンパク同士の接近を阻むように働きます。

その結果、乳酸菌飲料の保存中に乳タンパクが凝集・沈殿することを防ぎ、長期間安定な分散状態を維持することができます。ペクチンとの比較実験では、アルギンはペクチンのおよそ半量で乳タンパクの沈殿を防ぐという結果が得られています。

【使用するアルギン】
アルギン酸エステル(商品名:キミロイド)
キミロイド
酸性乳飲料
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
全体に対して0.1~0.8%

ビール

ビール

きめ細かく消えにくい泡を作ることができます

ビール

アルギンはビールの泡沫安定剤として高い効果があり、欧州、南米のブルワリーを中心に長年利用されています。アルギンはビールの泡の主成分である起泡タンパクに働きかけて泡の膜を補強するとともに、液体の流下速度を遅くすることで泡の保持時間を延ばします。

ビールへの添加量は数十ppm程度と極めて少量ですが、ビール自体の生産量が大きいため、この分野でのアルギン消費量は年間数百トンに上ります。残念ながら、日本国内ではビールの原材料にアルギンが認められていないため、アルギンを使用できるのは発泡酒など、ビール以外の飲料に限られます。

【使用するアルギン】
アルギン酸エステル(商品名:キミロイド)
キミロイド
アルギン酸エステル総合カタログ
【推奨使用量】
全体に対して40~80ppm

キミカウェビナーアーカイブ

過去に開催されたウェビナーを
ご視聴いただけます。