菓子・飲料
アルギンをお菓子作りに応用すると、生地のボリュームアップや弾力性向上、泡の安定などの効果を得ることができます。冷菓の安定剤として古くから定評があり、食感の改良やヒートショック耐性などの効果が認められています。飲料では、酸性乳たんぱくの沈殿を防止する安定剤として、あるいは果汁飲料に濃厚感を与える増粘剤として利用されています。
応用例・効果
※様々なタイプのアルギン酸類を「アルギン」と総称しています。応用例毎に正確な物質名を注記していますのでご参照ください。
冷凍パイ生地
浮き上がりが良くなり、ふっくら膨らみサクサク感が増します

ラピッド法で作った速成のパイ生地は冷凍するとパイの層ができにくく、生地層が潰れて浮きが悪くなります。冷凍パイ生地にアルギンを加えると、生地層の一枚一枚がきれいに分かれて適切な空隙が入り、焼成後に浮き上がりが良いパイができます。食感のサクサク感だけでなく、生地層に適度な強度が付与されて全体に高くふっくらと膨らむため、歩留まりが改善します。生地伸びが良くなるので、捏ね伸ばしの作業効率も改善します。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501、昆布酸503)
- 昆布酸501
- 冷凍パイ生地の品質改良
ホイップクリーム
気泡を安定化させて保形性を長時間維持し、離水も低減します

ホイップクリームは温度が上がると気泡が壊れて「ダレ」を生じたり、離水して形が崩れたりして、外観が悪化してしまいます。生クリームに加えられたアルギンは、乳成分のカルシウムによって緩いゲルを形成し、ホイップクリーム中の気泡を安定させます。その結果、クリームの保形性を長時間維持できるようになります。また、ホイップクリーム中に形成したゲルが水分を抱え込むため、クリームからの離水も軽減することができます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:昆布酸404)
- 昆布酸404
アイスクリーム
気泡が立ちやすくなり、口溶け良くなり歩留りも改善します

アイスクリームは、アルギンの最も古い食品アルギンの応用です。アルギンを配合したミックスは粘性が適度に上がって気泡が立ちやすくなり、アイスクリームのオーバーランを向上させます。オーバーランの高いアイスクリームは口溶けが良く、製造面では歩留まりも向上します。
また、ミックスに加えられたアルギンは乳中のカルシウムと反応して、アイスクリームの中に耐熱性のゲルネットワークを形成します。その結果、溶けにくく、身痩せしない、ヒートショック耐性に優れたアイスクリームになります。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸エステル(商品名:昆布酸702、昆布酸804、昆布酸542)
果汁飲料
喉ごしと濃厚感を与えて食感を改良し、固形分の沈殿も抑えます

果汁飲料にアルギンを加えることで、飲料に適度な喉ごしと濃厚感を与え、食感を改良します。また原料由来の果肉成分など、飲料中に懸濁している固形分の沈殿を抑える効果も期待できます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸エステル(商品名:キミロイド)
- キミロイド
乳酸菌飲料
乳タンパクの凝集・沈殿を防ぎ、安定な分散状態を作ることができます
ビール
きめ細かく消えにくい泡を作ることができます

アルギンはビールの泡沫安定剤として高い効果があり、欧州、南米のブルワリーを中心に長年利用されています。アルギンはビールの泡の主成分である起泡タンパクに働きかけて泡の膜を補強するとともに、液体の流下速度を遅くすることで泡の保持時間を延ばします。
ビールへの添加量は数十ppm程度と極めて少量ですが、ビール自体の生産量が大きいため、この分野でのアルギン消費量は年間数百トンに上ります。残念ながら、日本国内ではビールの原材料にアルギンが認められていないため、アルギンを使用できるのは発泡酒など、ビール以外の飲料に限られます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸エステル(商品名:キミロイド)
- キミロイド
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