1. ホーム>
  2. アルギンの応用
  3. 捺染用糊料・溶接棒

捺染用糊料・溶接棒

アルギンは木綿、麻、レーヨンなど天然繊維のプリントには欠かせない捺染用糊料として、世界中の染工場で利用されています。鉄鋼業界では溶接棒のバインダーとして、製紙業界では特殊紙のサイズ剤として重宝されています。

応用例・効果

※様々なタイプのアルギン酸類を「アルギン」と総称しています。応用例毎に正確な物質名を注記していますのでご参照ください。

捺染用糊料

捺染用糊料

染色加工の機能に優れるだけでなく、環境負荷も少ない捺染糊です

捺染用糊料

服地、スカーフ、タオルなどの生地に柄をつけるとき、染料に糊を加えたカラーペースト(色糊)を作り、その色糊で布に模様を描きます。多くの場合、柄を染めるための「型」を布の上に乗せて、型の上から色糊を押しつけることで染めていきます。捺(お)して染めることから、この技法は捺染(なせん/なっせん)と呼ばれます。捺染に使う色糊をつくるためには、適度な粘性と流動性を持った糊(のり)が必要です。アルギンが最も多く消費される用途が、この捺染用糊料です。

アルギンは、捺染用糊料に使う上で次のようなメリットがあります。

【流動性】

糊の流動性は、捺染加工の中で最も重要な要素です。アルギンの水溶液は粘度が高くても流動性が良いので、色糊が繊維の中へ滑らかに浸透して、生地を均一にムラなく染めることができます。また、アルギンを使った色糊は型の上での流動性も高いため、細かい模様の隅々まで行き届き、線の細い柄もしっかり描くことができます。

【相溶性】

天然繊維の染色には、セルロースの水酸基と反応して固着する特殊な染料(反応性染料)が使われます。セルロース系の糊料は布より先に反応性染料と反応してしまうため、うまく染色できませんが、アルギンは染料と反応しないので問題がありません。

【脱糊性】

染色を終えた後は、生地から捺染糊を洗い落とす必要があり、その洗浄のしやすさ(脱糊性)も捺染加工の大切な要素です。加温しないと溶解しないデンプンなどに比べ、冷たい水にもよく溶けるアルギンは脱糊性も良好です。

【排水負荷】

染色工場では、大量の排水を適正に処理してから放流しなければなりません。排水に含まれる糊料の分解性は、排水処理設備の規模を左右する大きな要素です。化学合成された糊料は生物分解されにくく、排水処理に時間がかかりますが、海藻由来の天然多糖類であるアルギンは分解されやすく、排水負荷が低くなります。環境にとても優しい糊料です。

【使用するアルギン】
アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン、アルギテックス)
キミカアルギン、アルギテックス
KIMITEX-α シリーズ

アルギン比較:加水量アップ

溶接棒

フラックスの塗布が容易になり、品質不良を防ぎます

溶接棒

鉄鋼業界では、被覆溶接棒に塗布するフラックスのバインダーとしてアルギンが利用されています。
溶接棒は、アーク溶接に使われる金属の棒で、溶接棒の周囲には被覆材(フラックス)が塗布されています。溶接棒のフラックスは細かい金属粉などでできており、原料粉末に水ガラス(珪酸ソーダ)を加えてペースト状にしたものを芯線(溶接棒の本体)に塗布します。塗布した後、加熱して乾燥・焼結させたものが被覆溶接棒の製品となります。

このとき、塗布したフラックスにひび割れや剥離などの品質不良が起きやすく、それを防ぐためにアルギンが使われています。水ガラスは強いアルカリ性の液体で、ここにアルギン酸ナトリウムを添加すると、水ガラス全体が膨潤して増粘します。これによってフラックスのスベリが良くなり、塗布が容易になると言われています。その結果、フラックスの被膜がしっかり固着し、溶接棒の不良率を抑えることができます

【使用するアルギン】
アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン、アルギテックス)、アルギン酸塩類、キミカアルギン、アルギテックス
キミカアルギン、アルギテックス

製紙

製紙

インクのにじみや浸透を防止するサイズ剤として利用されています

製紙

インクのにじみや浸透を防ぐため、紙の表面に塗布して皮膜を作るコロイド溶液を「サイズ剤」と呼びます。アルギンもサイズ剤のひとつとして使われています。
アルギン溶液を乾燥した皮膜は油を通しにくいため、辞書の紙のように非常に薄くて印刷文字数の多い、特殊な紙のサイズ剤として利用されています。

【使用するアルギン】
アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン、アルギテックス)キミカアルギン、アルギテックス
キミカアルギン、アルギテックス