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  2. アルギンの応用

アルギンは麺質改良剤として優れた効果を発揮します。アルギンが小麦粉の組織に固さや弾力性を付与することで、喫食時の麺の食感を改善します。即席麺、チルド麺など、大手メーカーのロングセラー商品に長年採用されているほか、乾麺に利用されるケースも増えています。
低糖質麺やグルテンフリー麺など、新しいタイプの麺の加工にも活用することができます。

応用例・効果

※様々なタイプのアルギン酸類を「アルギン」と総称しています。応用例毎に正確な物質名を注記していますのでご参照ください。

即席麺

即席麺

麺にコシとツルツルとした舌触りを与え、食感を改善します

即席麺

お湯を注いで短時間で喫食できる即席麺は、工場で加熱されてからの保存期間が長く、その間にでんぷんの老化が進むため、湯戻し後の麺線が柔らかくなりがちです。箸にかからないくらい、ボロボロにちぎれてしまうこともあるようです。
アルギンを配合した即席麺は麺線の硬さが増し、湯戻し後の食感が大きく改善します。また舌触りのツルツル感が増すとも言われており、多くの商品に利用されています。

【使用するアルギン】
アルギン酸(商品名:キミカアシッド)、アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501)
キミカアシッド
キミカアルギン
昆布酸501
麺類総合
【推奨使用量】
対粉0.1~0.5%

チルド麺

チルド麺

麺線同士が張り付きにくくなり、ほぐれやすくなります

  • チルド麺

コンビニやスーパーの店頭に並ぶチルド麺も、加熱調理された後、消費者が口にするまでの時間が長いので、麺の食感維持が課題となります。アルギンはわずかな配合量でチルド麺の食感を改善する改良剤として、広く利用されています。

またアルギンを配合した麺を、カルシウムを含むお湯の中で茹でることで、麺線表面にアルギンのゲル皮膜をつくり、でんぷんの溶出を防ぐ事ができます。その結果、麺線同士が張り付きにくくなり、麺のさばき性(ほぐれ性)を改善する事ができます。流水に晒すだけで食べられるタイプのチルド麺にも、食感改良とさばき性改良の目的でアルギンが使われています。

【使用するアルギン】
アルギン酸(商品名:キミカアシッド)、アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501)
キミカアシッド
キミカアルギン
昆布酸501
昆布酸麺類のほぐれ性が向上
【推奨使用量】
対粉0.1~0.5%

乾麺

乾麺

機械製麺に手延べ製麺の歯応えを再現し、茹で伸びしづらくなります

  • 乾麺:素麺

日本そばやそうめんなど、乾麺のかたちで流通することが多い伝統食品にも、アルギンは効果を発揮します。アルギンを配合した日本そばは、茹で上がりの歯応えが向上します。
また、保管中の乾麺がポキポキと折れてしまうことを防ぐ効果も報告されています。

アルギンによる食感改良効果が特に顕著に現れるのがそうめんです。
機械で製麺したそうめんは、手延べそうめんのようなシコシコとした食感を再現することが難しく、茹で後の食感が軟かくなってしまいます。ところがアルギンを配合したそうめんは、機械製麺であっても手延べのような食感と歯応えが発揮されます。茹で時間が多少長くなっても麺が軟化せず、茹で伸び防止効果も期待できます。

【使用するアルギン】
アルギン酸(商品名:キミカアシッド)、アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501)
キミカアシッド
キミカアルギン
昆布酸501
【推奨使用量】
対粉0.1~0.5%

新しい麺類

新しい麺類

「本来麺にならない素材」を麺状に加工することができます

  • 新しい麺類

健康志向やダイエットブームの影響で、麺類にも新しい価値(低カロリー、低糖質、グルテンフリーなど)が求められるようになりました。こうした新しい価値を提供するためには、小麦を使わずに麺を作る必要があります。大豆や米粉、海藻など、「本来は麺にならない素材」を麺状に加工する際に活躍するのがアルギンのゲル化機能です。

【使用するアルギン】
アルギン酸(商品名:キミカアシッド)、アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギン)、アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501)
キミカアシッド
キミカアルギン
昆布酸501
高機能性麺の物性改良
【推奨使用量】
対粉0.1~0.5%

低糖質麺

低糖質麺

小麦粉を使わなくても、コシのある美味しい麺を作ることができます

  • 低糖質麺

小麦よりも糖質の低い穀物(大豆など)を使って麺を作ると低糖質麺になります。豆腐を麺状に加工することもできますが、それだけでは食感が軟らかすぎて、食べ応えのある麺にはなりません。
こうした問題を解決するのがアルギンです。アルギンとカルシウムのゲル化反応によって麺に良好な強度と食感を付与することができます。アルギンのゲルには耐熱性もありますので、加熱殺菌も可能です。

高機能性麺の物性改良
【推奨使用量】
対粉0.1~0.5%

グルテンフリー麺(米粉麺)

グルテンフリー麺(米粉麺)

生地のまとまりが良くなり、製麺が容易になります

  • グルテンフリー麺(米粉麺)

グルテン(小麦粉に含まれるたんぱく質)は、小麦アレルギーの原因物質です。グルテンフリー食品は、もともとは小麦アレルギーの食事療法として開発されたものでしたが、近年は美容と健康の文脈からも人気を集めています。 代表的なグルテンフリー麺として知られるのが米粉麺です。しかし、米粉を麺状に加工することはとても難しく、何とか麺状に加工できたとしても茹でると溶けて、食感が柔らかくなり過ぎます。

アルギンを米粉麺に配合すると生地のまとまりが良くなり、製麺加工が容易になります。麺線の強度が増し、茹でた後の食感も良好です。茹でる際のでんぷん溶出が抑えられるため、麺の歩留まりが向上することに加え、茹で湯の濁りが軽減されて、洗浄の労力も軽減されます。

海藻麺

海藻麺

爽やかな透明感とプチプチ食感を楽しめるカロリーゼロ麺

  • 海藻麺

サラダのトッピングや刺身のつまとして利用される「海藻麺」は、アルギンをカルシウムで麺状にゲル化させたものです。爽やかな透明感のある外観と、プチプチした食感が楽しめることから、外食産業で利用されるほか、スーパーでも市販されている人気の商品です。主成分(アルギン)以外はほとんど水なので、摂取カロリーが極めて低いヘルシーな食品です。

機能性表示食品

Column

機能性表示食品

機能性表示食品

機能性関与成分として、アルギンが利用されています

食物繊維であるアルギンの機能性の1つに食後血糖値の上昇抑制機能があります。これは、デンプンをヒトが吸収できる形の糖(グルコース)へ分解する酵素であるα-グルコシダーゼの働きをアルギンが阻害することによって起こるものと考えられています。アルギンを配合する事で、食後の血糖値上昇を抑える機能を持った麺類が開発され、市販されています。

この他にもアルギンの機能性として、血中コレステロールの低下や中性脂肪吸収抑制、便通改善、有害金属の体外排出など、様々な特有の機能性があることが、動物実験で確認されています。現在、複数の病院・研究機関で臨床研究が行われており、体系的なデータの蓄積が進んでいます。 麺以外にも様々な機能性表示食品への利用が期待されます。

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