フィリング
菓子パンやパイの中に詰める餡、餃子や春巻きの中に詰める具材など、食品の詰め物を「フィリング」と言います。フィリングにアルギンを配合すると、その耐熱性や保形成、安定性が増します。また離水を抑えることで商品価値を高めるとともに、歩留まりの向上によるコストダウンが期待できます。
応用例・効果
※様々なタイプのアルギン酸類を「アルギン」と総称しています。応用例毎に正確な物質名を注記していますのでご参照ください。
耐熱性の向上
焼いても溶けないフィリングを作ることができます
甘くてみずみずしいフルーツフィリングや、ミルクベースの濃厚なクリームフィリングを包んだ焼き菓子が人気を集めています。こうしたフィリングはゼラチンなどのゲル化剤でセリー状に固められたり、ペクチンやカラギーナンなどのゲル化剤でゆるいジェル状に(ジャム状に)加工されたりして、焼き菓子の中に詰められています。しかし、一般的なゲル化剤は耐熱性に乏しく、焼成時の熱で溶け、液体となって流れ出てしまうことがあります。フィリングが溶けると、外観や食感を損ない商品価値を落としてしまいます。
一方、アルギンで作ったゲルは熱に強く、高温で焼成しても溶け出すことはありません。フィリングにアルギンを配合し、これをカルシウムでゲル化させると、フィリング全体に耐熱性の高いアルギンのゲルネットワークが形成され、高温で焼成しても溶け出さない、耐熱性に優れたフィリングを作ることができます。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:昆布酸421、昆布酸431)
- 昆布酸421、昆布酸431
- ベーカリーフィリング
- 【推奨使用量】
- 全重量の0.1~0.5%
フィリングの離水防止
具材から染みだす水分を抱え込み、外に逃がしません
フィリングから染みだす水分を「ドリップ」と言います。
菓子パンの場合、フィリング(あんこ、フラワーペースト、カレーなど)から出たドリップはパン生地を濡らして商品価値を損ない、蒸発して生地をパンクさせることがあります。
餃子の場合、餡の野菜から染み出たドリップが皮を濡らすと、餃子同士がくっついて離れなかったり、皿に付着して壊れてしまったりすることがあります。
こうした問題は、アルギンとカルシウムを配合した製剤をフィリングに添加することで解決することができます。
アルギンはドリップ(水分)を吸い込むと、カルシウムと反応してゲル化して、フィリングの離水を効果的に抑えます。ゲル化したアルギンは粘性を持たないので食感を損なうことはなく、耐熱性に優れたアルギンのゲルは加熱調理しても溶解せず、吸い取った水分を手放しません。
カルシウムさえあれば、加熱や冷却などの処理なしにゲル化させることができる、アルギンならではのユニークな応用例です。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:昆布酸421、昆布酸431)
- 昆布酸421、昆布酸431
- カレーフィリング
- フラワーペースト
- あんこの離水防止
- 【推奨使用量】
- 全重量の0.1~0.5%
コストダウン
加水できる量が増えて容積が増し、歩留まりが向上します
アルギンの離水防止効果は、フィリングの加水量を増やすために応用することもできます。
フラワーペーストやパイフィリングなどを作る際に、フィリングにアルギンを配合すると加水できる量が増えるため、フィリングの容積が増して歩留りが向上します。
- 【使用するアルギン】
- アルギン酸ナトリウム(商品名:昆布酸421、昆布酸431)
- 昆布酸421、昆布酸431
- 【推奨使用量】
- 全重量の0.1~0.5%
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