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アルギン酸のご使用方法

How to use

アルギン酸、アルギン酸塩類、アルギン酸誘導体(これらをまとめて「アルギン」と言います)は、粉末状の製品をそのまま配合することもできますし、水に溶かして、水溶液の状態にしてからご利用いただくことも可能です。
多くの場合、アルギンの使用量はごくわずか(最終製品に対して1~2%程度)のため、全体の中へいかに均一にアルギンを行き渡らせるかが、アルギンの機能を十分に引き出すコツと言えます。

【粉末のまま配合する場合】
少量のアルギン粉末を計り取って、そのまま投入するだけでは、全体へ均一に混ざらないことがあります。その場合、まず主原料の一部(10%程度)を取り分け、そこに必要量のアルギン粉末を投入して一次混合し、これを全体に混ぜ直すような手順を踏むことで、アルギンをより均一に混合することができます。

【水溶液にして使う場合】
アルギンは水溶性の高分子で、水に溶かすと粘りのあるコロイド溶液になります。アルギンを増粘剤、ゲル化剤などとしてご利用いただく上で、まずアルギンが十分に溶解し、均一な水溶液になっていることが大切です。
アルギンは水和性の高い物質で、本来水に溶けやすい性質を持っています。しかし、水和性が高い分、水中でママコ(ダマ)を作りやすく、場合によっては非常に「溶かしにくい」と評価されてしまう場合があります。
ここでは、アルギンを有効にご利用いただけるよう、基本的な溶解方法について解説します。

アルギン酸の溶解性

  • アルギン酸の1価カチオン塩(Na塩、 K塩、 NH塩など)およびアルギン酸エステルは冷水・熱水によく溶けて、
    粘ちょうな水溶液となります(表1)。
  • アルギン酸、アルギン酸カルシウムは、水に溶けません。
  • 全てのアルギンは、油脂および有機溶媒に不溶です。

【表1:各種溶媒への溶解性】

アルギン酸の種類 溶解性
水、湯 油脂 有機溶媒
アルギン酸 ×
溶けない
×
溶けない
×
溶けない
アルギン酸塩類 アルギン酸ナトリウム
溶ける
×
溶けない
×
溶けない
アルギン酸カリウム
溶ける
×
溶けない
×
溶けない
アルギン酸カルシウム ×
溶けない
×
溶けない
×
溶けない
アルギン酸アンモニウム
溶ける
×
溶けない
×
溶けない
アルギン酸エステル
溶ける
×
溶けない
×
溶けない
  • 溶解する液体の性質(pH、カチオン濃度など)によって、アルギンの溶解性は異なります。
  • アルギン酸類は、酸性の液体、多価カチオン(Ca2+など)を含む液体には溶かしにくいのでご注意ください(表2)。

【表2:溶液の性質とアルギンの溶解性】

  溶解性
酸性の液体 アルカリ性の液体 多価カチオンを含む液体
果汁、酒、ドレッシングなど かんすい溶液など 硬水、牛乳など
アルギン酸 ×
溶けない

溶ける
×
溶けない
アルギン酸ナトリウム ×
溶けない

溶ける※1
×
溶けない
アルギン酸カリウム ×
溶けない

溶ける※1
×
溶けない
アルギン酸カルシウム ×
溶けない
×
溶けない※2
×
溶けない
アルギン酸アンモニウム ×
溶けない

溶ける※1
×
溶けない
アルギン酸エステル
溶ける

溶ける※3

溶ける
  • ※1 強アルカリ中では急激に粘度低下することがあります
  • ※2 アルカリの種類によっては溶解する場合があります(炭酸Naなど)
  • ※3 中性~アルカリ性の条件下ではエステルが分解してアルギン酸塩になります。

分散
〜効率の良い溶解の為に〜

  • アルギン製品はいずれも乾燥した粉末です。
    ※キミカのアルギン製品は、用途に合わせて顆粒状の造粒品から超微粒子品まで、幅広い粉末形状の商品をご用意しております。
  • アルギンを短時間で溶解するためには、アルギン粉末を水中へなるべく均一に分散させることが必要です。
  • 水中に分散したアルギン粉末は、徐々に膨潤し溶解していきます。細かく均一に分散したものは表面積が大きいので、短時間で溶解します。一方、大きな固まり(ママコ)を生じたものは、膨潤・溶解させるまでにとても長い時間が必要になります。
◯良い例 アルギン分子が均一に分散しているため、短時間で全体が水和する ◯良い例 アルギン分子が均一に分散しているため、短時間で全体が水和する
×悪い例 分散が不十分だと、アルギン粒子同士が付着し大きな固まり(ママコ)となり、溶けにくくなる ×悪い例 分散が不十分だと、アルギン粒子同士が付着し大きな固まり(ママコ)となり、溶けにくくなる
【効果的な分散方法】
  • ① 強攪拌による分散
    十分な能力(攪拌力、回転速度、剪断力)を持つ攪拌機で分散させます。
  • ② 分散剤との混合による分散
    砂糖、塩など、ダマにならない成分と粉末混合したものを水中へ分散させます。
  • ③ アルコールとの混合による分散
    アルコール、油脂など、アルギンを溶かさない溶媒と混合して水中へ分散させます。

強攪拌による分散・溶解

【攪拌機を用いる分散】
  • プロペラ型撹拌機などで水を強撹拌して渦を作り、できた渦の壁面へアルギン粉末を少しずつふりかけるように投入します。
  • 分散させたら、溶液中の未溶物が見えなくなるまで撹拌を続けます。
  • ※ この方法は、アルギン単体を効率よく水中へ分散し、短時間で溶解させることができる、最も標準的な溶解法です。
  • ※ この方法で溶解するためには、容器内の水を十分に撹拌できる能力をもった撹拌装置が必要です。
  • ※ アルギンが溶解してくると、溶液は粘性を帯びます。撹拌装置には、高い粘性を持った液体を撹拌できるだけの力も必要です。
  • ※ 粉末を投入した後、プロペラや容器の壁面などに粉末が付着することがありますので、途中でいったん撹拌を止めて、確認してください。
【ママコが出来てしまった状態】

分散剤との混合による分散・溶解

【砂糖、塩などを用いる分散】
  • 砂糖や塩など、ママコにならない成分とあらかじめ粉末混合しておきこれを水中に投入すると、撹拌が弱くてもママコを作ることなく短時間で分散することができます。
  • いったん分散させてしまえば、あとは非常に弱い撹拌だけで均一な溶液を得ることができます。
  • 良好な分散性を得るためには、アルギン粉末の6倍量以上の分散剤と均一に混合しておくことが必要です。
【砂糖を用いた溶解の例】
  • 1. 砂糖とアルギンを粉末同士であらかじめ良く混合しておきます(プレミックス)。
  • 2. プレミックスしたアルギンは、弱い撹拌だけできれいに水中へ分散させることができます。
  1. 砂糖とプレミックスしたアルギンは、撹拌が弱くてもママコを作ることなく、容易に水中に分散します。

  2. アルギン粉末は膨潤を始めますが、粉末同士がきちんと分散しているので大きな塊にはなりません。

  3. ママコのない分散液が得られました。このまま放置するか、弱い撹拌を続ければ、短時間できれいなアルギン溶液が得られます。

  • ※ アルギンの種類によっては、あまり高濃度の分散剤と併用すると、分散性は改善するものの、完全溶解しにくくなる場合がありますので、ご注意ください。
【アルコールを用いる分散】
  • アルギンが有機溶媒に溶けない性質を利用して、簡単に溶解する方法があります。
  • アルギンの粉末に少量のアルコール(エタノール等)を加えて流動性のあるスラリー(泥状、かゆ状の分散液)を作り、
    そこへ一気に水を注ぐと、ママコのない分散状態が得られます。
  • いったん分散させてしまえば、あとは非常に弱い撹拌だけで均一な溶液を得ることができます。
【アルコールを用いた溶解の例】
  1. 1. アルギン粉末にアルコールを加え、流動性のあるスラリーとします。
  2. 2. スラリーを撹拌しながら、水を一気に加えます。
  1. アルギンにアルコールを加えてスラリーを作ります。アルコールの量はやや多目の方が分散させやすくなります。

  2. スラリーに水を加えます。このとき、アルギン粉末が沈殿しないように撹拌しながら水を加えるのがコツです。

  3. ママコのない分散液が得られました。このまま放置するか、弱い撹拌を続ければ、短時間できれいなアルギン溶液が得られます。

  • ※ 砂糖の場合と異なり、水中へアルギンを投入するのではなく、アルギン+アルコールのスラリーに水を加えてください。

キミカでは、アルギンの溶解方法や溶解装置について詳しく解説したパンフレットをご用意しております。
ご希望の方は弊社営業部までお問い合わせください。

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